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想い出と匂い


ある匂いを感じた時、
昔の思い出 がよみがえった事はありませんか?

また 昔を思い出した時、
懐かしい匂い がよみがえった事はありませんか?

私はよくこんな現象が起こります。



季節は秋に移ってきましたね。
日中の日差しも柔らかくなってきました。
金木犀のいい香りが 
また秋の晴れた日の色を濃くします。

今日はその金木犀の香りとは別の、
少し柔らかい 銀木犀の匂い を
感じまして、思わず枝木を探しました。


それは、人生で最も時間がゆっくりと過ぎた
3年間を思い出しました。


故郷から離れた所で過ごす毎日は
朝から夜までの1日が長かったこと、
希望して向かった土地でしたが
何をする気も起きず
ただ飼い猫と寄り添って暮らしていたこと、
親や友人達と離れて
遠くでひとりぼっちを感じていた時代。
乾いた空気と 音のない静かな世界。


その住んでいた家の周り中に
銀木犀が植えてありました。
2m近い高さのものが家を囲むように
垣根として植えてあり、
秋になると家中に
優しい銀木犀の匂いが漂っていました。


辛い思い出 ではありませんが
ただ 何故か取り残されように
強い孤独感を感じていました。



混沌とした そのあまりあまる時間、
私はたくさんの本を読みあさって過ごしていました。
猫とずっと一緒に。




銀木犀の匂いは
秋の傾いていく日差しの中で
長い1日を過ごしていた
あの家をいつも思い出します。



人生には波があります。

エネルギッシュに動き回れる時と
何も出来ず 
何をする気も起きず
壁にぶち当たったように
上手くいかない時と。


その波も人様々です。
同じ人生を歩む人はいません。


上手くいかない時は
じっと根を張る時期。
いつかまた流れが変わってきます。
流れが変わるよう
準備する期間なのです。


当時の私は 
運気の流れを知りませんでしたが
体感した今は確信しています。





その時代に読んだ中の この本は
今だに 
解説つきでも理解出来ない難解な本ですが
この季節は時々読み返したくなります。